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2023年8月8日

国産カブトムシ・クワガタの飼育方法

六脚堂流 飼育マニュアル

男の子の憧れの虫。それがカブトムシ。
近くに自然のない環境で育った方なら、その憧れはより強いものではないかなと思います。かくいう私も、都心部で育ったため大人になってからその魅力に魅了されてしまいました。

私の経験談も交え、カブトムシの飼育方法をわかりやすくお伝えできればと思います。

ご注意として、相手は声も表情も鳴き声もあげない生き物ですので、すべてにおいて『確実なことは言えない』ということです。

突然☆になってしまうこともありますし、予想以上に長生きすることもあります。
これらはあくまでも、セオリーと経験談を交えてお伝えしているとご理解いただければと思います。

成虫を育てる

カブトムシの成虫を飼育するだけであれば、極端な話をすると、熱を防ぎ・乾燥を防ぎ・隠れ場所をつくり・餌を与える。この4点さえ抑えれば、特別注意すべきことはありません。

飼育に必要なもの

生体

これがいなければ始まりません笑

おそらくこのページにたどり着いたということは、手に入れているから。とは思いますが、いくつかの入手方法をお伝えします。

1)山で採集

ここにいる!という情報が重要です。なかなか教えてくれるものでも無いのですが。。
キャンプ場の外灯などにも集まるので情報を集めましょう。

2)地元のペットショップ、ホームセンターなどで購入

3)昆虫愛好家のグループ、オンラインの昆虫販売業者などから入手。

などがあげられます。まずは入手しましょう!

なお、このページではカブトムシの飼育をメインに説明を致します。
(クワガタもかなり被っていますのでご参考までに。)

飼育容器

カブトムシの成虫飼育には飼育ケースを使います。

「コバエシャッター」などの専用ケースはコバエなどの雑虫の侵入を防ぎ、湿度も保てるプラスチック製の専用飼育ケースです。

ディフェンスシートや新聞紙を使うとさらにコバエなどの侵入を防ぐことができます。

ディフェンスシート・新聞紙

小さな通気の穴があいている専用のビニールシートです。

コバエの侵入防止、保湿に効果的です。ケース本体とフタに挟んで使います。

新聞紙も、保湿効果が高いので便利ですが、上から覗きにくくなってしまいます。

コバエの侵入防止と乾燥防止に非常に役立ちます。これが一番重要。

なぜなら、コバエはマットに卵を産み、とてつもない早さで繁殖します。そうなると、飼育についての家族の同意はもう絶対に得られません!笑

清潔に飼育をするための必需品と言えます。

なおキッチンペーパーでもOKです!

※一般的な虫かご は空気穴が大きいため、挟めたほうが良いですね。

(大きさを実感いただくために缶コーヒーを置いてみました。)

カブトムシの飼育床

専用のほだマットや各種発酵マット加水して使います。

腐葉土や木屑を細かく粉砕したものをマットと呼んでいます。

マットは針葉樹マットと広葉樹マットが販売されていますが、成虫の飼育のみであればどちらでも大丈夫です。安価な針葉樹マットで良いでしょう。

(針葉樹マットは雑虫対策にもなります。)

ケースに3cmの深さ程度入れてあげて下さい。

※写真はハムスターなどで使用する広葉樹チップです。

マットよりも汚れたときの交換が楽です。

なお、100円ショップやホームセンターで販売されている、幼虫飼育用のマット(土)でも成虫の飼育は可能です。

また、コバエや雑虫が寄りつきにくい、針葉樹マットがあります。

(幼虫飼育はできません。成虫管理用です。)

エサ

市販の昆虫ゼリーでOKです。少しでも長生きしてもらうなら、ホームセンターやスーパーで安く買えるものだけでなく、専用の高タンパクと言われるゼリーもおすすめです。

またバナナ等の果物やヨーグルトも良いですが、すぐに悪くなってしまうので不衛生です。

私は、カブトムシ成虫 1頭に対して写真の真ん中の白いゼリー(18gワイド)を与えています。

ゼリーが無くなったら、または1週間ほど経っていれば残っていても交換しています。

およそ2〜4日に1回程度のペースで交換していますが、羽化からの時期や、個体によってサイクルを変えています。

ヘラクレスオオカブトなどの大きな外国産カブトムシは、大食漢なので60gなどの大きなゼリーを与えます。

転倒防止材

転倒防止に樹皮や木片を入れます。

ひっくり返ったままだと衰弱してしまうので、起き上がるときの足がかりが必要になります。

※私は、山などから拾ってきたものは別の虫が住み着いていたりするので、冷凍処理や、夏は車の

トランクなどに入れ高温の熱で処理したあと乾燥させ、対策します。

※餌皿も転倒防止に役立ちます(左上)・クワカブ専用のきれいなブロックも販売されています(右上)

成虫の隠れ場所

カブトムシも天敵から身を守るため、本能的にすぐに隠れようとします。木の皮を剥いだようなものをマットの上に置いてあげて下さい。これは無くても困ることはありませんが(マットを5cm位入れておけば潜ってくれるので)、ストレス回避や転倒した時のためにも入れてあげて下さい。

マットが3センチ程度ひいてあるような、カブトムシが潜れる状態でしたら、無くても問題はありません。

セット後に加水する道具(霧吹き)

セットした後に、マットを加水するときに便利です。

必須アイテムです。

虫かごのようなケースはフタに隙間が多いためとても乾燥しやすいのです。

カブトムシ・クワガタは、数日エサが無くても生きていられますが乾燥には弱いものです。(過度な湿度はケース内の温度を上昇させてしまうのでこれも注意です。

家族の同意(特におかあさん)

重要項目です笑

家族、特に奥様やお母さん、お姉さん、妹さん、昆虫が嫌いな人は多いです。

コバエが家中を飛んでいたり、餌が腐って不衛生となるなら、絶対に許可してくれません。

そのためにも、飼育はきちんと衛生的に行われることを説明し、そして実践しましょう。上記のキッチンペーパーや新聞紙はとても大切です!!!

カブトムシ成虫飼育の管理について まとめ

温度管理

夏場の高温には要注意です。

適温は25〜28℃です。35℃以上が数日続くと危険信号です!

なお、霧吹きのし過ぎやゼリーなどでケース内の蒸れが起きると温度は更に

2〜3℃がプラスされてしまいますので注意を!

マットの管理

乾燥していたら霧吹きで表面を湿らせてください。

またマットに汚れが目立つようなら交換しましょう!

コバエの発生源になります。

また、カブトムシはおしっこが大量なので、全体が湿って匂いが出てきたら交換です!

転倒に注意

カブトムシはひっくり返るとつかまるものがないとすぐ起き上がれないので、

樹皮や木片を入れておきます。

エサ切れに注意

エサは減り具合を見ながら切らさないようにしてください。

(ただし、エサがきれても2〜3日で☆になってしまうことはありません。)

飼育する頭数

1ケースに♂が2頭以上いる環境の場合、ケンカをしてお互いに傷つけあってしまうことが

あります。弱ってしまい寿命も短くなるので、可能ならば 1頭ずつで飼育するのが理想です。

さらに餌場が一箇所だと、取り合いの喧嘩も起きてしまいます。

MEMO

卵を(幼虫)産ませたい場合は、少し飼育方法に変化が必要になります!

卵を産ませる

カブトムシを飼育すると、その子の子供が欲しくなります。

カブトムシに産卵させるには幾つかの重要なポイントがあります。

そのポイントをおさえれば、比較的簡単に産卵させてカブトムシを増やす事ができます。

またカブトムシの一生をお子さんと一緒に学ぶことで、命の勉強ができます。

ぜひチャレンジしてみてください!

卵を産ませるポイント

1)十分な成熟期間(羽化してからの時間)をとって交尾させる。

交配されたカブトムシは、羽化したときに形は整っていますが、体の中が完全にできあがっていないことがあります。それを判断するには「後食」しているかどうか。

(エサを食べ始めているかどうかということです。)

後食してから成熟するまで、カブトムシは2〜3週間を要します。

この成熟前に♂と♀を同居させても交尾はできない(しない)ので成虫になってエサを食べ始めてから同居させます。

※山などで採集してきたカブトムシは、既に交尾が終わっているケースが多いです。そして交尾済みの♀は♂を避ける傾向もありますので、♂から逃げ回るようなら一度ケースから♂を出して別の日に再チャレンジしてみましょう。

私は、大きなケースに4〜5頭づついれて自然に任せますが、しっかりと観察したい場合はこれらの管理ができると良いかもしれません。

MEMO

虫の種類によってさまざまですが成虫になってからの時間が短いと交尾や産卵がうまくできません。 成熟の目安として大事なのが「エサを食べはじめた」という事です。 その後「エサの量が増えた」「ケース内で羽ばたく」 などの行動が見られるようになったら 成熟して交尾が出来るようになっている可能性が高いです。

※写真はヨルゲンセンヒメゾウカブト

2)温度管理

産卵させるカブトムシに温度をあわせます。

国産カブトムシは25〜30℃が適温となります。

温度は35℃位までが限界値だと考えてください。普段は木陰や湿った地面にいますので、夏の虫というイメージはありますが意外に高温には弱いのです。

直射日光にも気を付けてください。

ヘラクレスオオカブトなど、外国産カブトムシは種によって管理温度に若干の差が出てきますのでそれぞれの飼育ページを御覧ください。

ネプチューン、サタンの写真

ネプチューンオオカブトや、サタンオオカブトは18〜22℃が適温です。

暑さに弱い種も沢山います。

3)交尾をさせる(ペアリング)

成熟したペアであれば、特別に何かをしなくてもオスとメスを同居させておけば交尾を行います。

確実に交尾させたい場合はメスを木の上に乗せさらにその上から優しくオスを後ろから乗せてあげると交尾をします。それをハンドペアリングと言います。

 

MEMO

カブトムシのオスはメスの体にフ節をひっかけて交尾します。

オスの前足のフ節がないものは交尾が難しくなりますので、なるべくフ節のある個体をつかいます。

MEMO

※野外採集物(いわゆるワイルド)は交尾済みでペアリングの必要がない場合がほとんどですが、

稀に元地ブリード物がワイルドとして輸入されるケースがありますのでエサの食べ具合を数日観察し、食べないようであれば【熟成期間】や【ペアリング】が必要です。

4)産卵用のケースのセット

セット後10日~2週間くらいで産卵をはじめます。

産卵から孵化までは2週間~1ヶ月くらいになります。

飼育用に準備したケースよりも大きなケースを用意します。

私は大ケース以上の大きさがあるものを使用することもあります。

ホームセンターで売っている、衣装ケースなどで代用も可能です。

※写真はクリアスライダー(ラージ)

《産卵セットの組み方》

マットに加水します。

強く握って団子になるくらいにします。

ケースにマットを敷き詰めます。下は強く押し込んで固めましょう。

(写真は専用工具ですが、握りこぶしで押し付けても構いません)

8割硬め、

残り2割はふんわりと。

転倒防止に足場とゼリーを入れて完成です。

産卵セットを組んで1〜2週間後、ケースの底や側面に卵が見えるようになります。

そうなったらオスは取り出し、メスに引き続き産卵に集中してもらいましょう。

1ヶ月も経過すれば幼虫も見えてくるはずです!

5)いよいよ採卵!

ケースを開けて、幼虫や卵を取ることを「割り出し」や「採卵」と言います。

1頭のメスからおよそ30~40頭ほどの幼虫(卵も含む)を得ることができると思います。

卵で取り出すことを「採卵」と言いますが、卵で管理すると孵化率が下がるため、幼虫で「割り出し」することをおすすめします。

ケースの大きさにもよりますが、環境が合うと一度に30〜50産むことも!

これを2~3回繰り返すことで、1♀から100頭ほどの幼虫が採れれば大成功です。

6)卵を産んだら

クワガタムシやカブトムシは、成虫になってからは大きくなりません。

幼虫の間にどれだけ大きくなるかで羽化した際のサイズが変わります。従いまして、幼虫の期間にどれだけ栄養価の高い餌を与え、太らせられるかが、成虫になった時のサイズを決定付けます。

□卵の管理

産卵セットから卵が出てきたら。

いくつか管理方法がありますが、今回はプリンカップでマット管理の説明をします。

※写真はネプチューンオオカブト

プリンカップなどの容器に、産卵セットで使用したマットを半分ほど敷き詰めます。

(乾いている場合は少し加水してください)

そのマットに、箸などでくぼみを作り、そこに優しく卵を置いていきます。

その上から、保湿のためにマットを被せ、蓋をします。

蓋には空気穴をいくつか開けておきましょう。

数週間で、卵から幼虫に孵化してきます。

透明なカップなら、ハシに置いた卵が還るところを観察できます!

□幼虫飼育方法

カブトムシの幼虫飼育では発酵マットを使います。

飼育ケースなどの容器にガス抜きと水分調整をした発酵マットを入れてセットします。

カブトムシの幼虫飼育はひとつの容器で多頭飼育も可能ですが基本的には一つの容器に1頭ずつ飼育した方が無難です。

※写真は、まだ初齢幼虫(生まれたて)のため一旦大きなケースに10頭ほどまとめたものです。

3令幼虫になり、雌雄判別できるタイミングで1頭ずつに引っ越しの予定です。

POINT

・飼育するカブトムシにあった温度で管理します。直射日光の当たらない静かな場所で管理します。(むやみに触ったり、出したりするとストレスになり大きく育ちにくくなります。。

・飼育する容器の通気を確保し酸欠やマットのムレ、乾燥に注意しましょう。

・幼虫飼育をはじめてから成虫になるまでに何回かエサ交換を行います。交換のサイクルは3ヶ月が目安です。(マットにムシやコバエが出た場合は交換しましょう)

幼虫飼育で使うもの

飼育容器

カブトムシの幼虫飼育には飼育ケースまたは飼育ボトルを使います。

専用ケースを使用すると管理も便利です。

発酵マット(カブトムシの飼育床)

ブトムシの幼虫飼育には月夜野きのこ園のきのこマット、完熟マットが最適です。実績も多数あり!!

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幼虫飼育セット方法

カブトムシの幼虫飼育では、飼育ケースに

「ガス抜きと加水」をした発酵マットをつめてその中で幼虫を飼育します。

発酵マットのガス抜きと加水をする

発酵マットは使う前に発酵臭を飛ばす作業(ガス抜き)と水を加えて水分の調整を行います。

発酵マットをケースに詰める

ガス抜きと加水の処理ができたらマットを入れます。

特に固く詰める必要はありません。

カブトムシの幼虫をセットする

セットする幼虫を用意します。

(左の写真は産卵セットから割り出した幼虫です)

準備した飼育セットに幼虫を入れます。

カブトムシの幼虫飼育は一つの容器で複数飼育可能ですが基本的には一つの容器に1頭ずつ飼育した方が無難です。

発酵マットに幼虫が入るくらいの穴を掘って幼虫を置いてあげると幼虫は自分で発酵マットの中へ潜っていきます。

幼虫が潜ったのを確認したら、フタをしてセット完了です。

(※フタをするときディフェンスシートや新聞紙をはさむとマットの保湿とコバエの侵入防止に効果があります)

幼虫の温度管理

静かな場所でそれぞれのカブトムシの種類に合わせた温度の場所で管理します。

大体のカブトムシは20~25℃の間で管理します。

温度管理が出来ない場合には夏場はなるべく涼しい場所に置くようにしてください。

カブトムシエサ交換

発酵マットのかさが減った
表面に幼虫のフンが目だってきた

などが見られたら交換のタイミングです。

〜次の夏までの大まかなスケジュール〜

いつ卵から幼虫になったか、また地域の温度によって、若干の誤差はありますが。

8〜9月(夏〜秋)

幼虫飼育開始から少し寒くなるまでの10月までは、非常に沢山のマットを食べます。
3週間間隔でマットの減りを確認して、減った分を補充してください。

糞が目立つように(全体の1/2ほど)なってきたらマットを全て交換してください。

11〜4月(冬〜春)

11月にはマットを全て交換をして4月まで寒い場所に保管をしてください。

(地域による温度差はありますが)
国産カブトムシは冬季に20℃前後以上で飼育をすると大きな幼虫も、小さく羽化をしたり羽化が出来なくなる場合があります。

冬期間は、0~15℃で飼育してください。(凍らない場所で)

4~6月(春)

3週間間隔でマットの減りを確認して、減った分を補充してください。

糞が目立つよう(全体の1/2ほど)になってきたらマットを全て交換してください。

6月(夏に向けて)

ここからがポイントです!

6月上旬にマットを全て交換をして以降は、減った分のみ交換してください。
6月中旬~7月上旬にかけて蛹化することが多くなりますので、大きな震動を与えないように注意をしましょう!!

蛹室を作り始めると、ケース側面・底面に縦長の空洞を作ります。空洞を確認できないときは、ケース底の丸く色が変わった場所が確認できますので、その場所が蛹室の印になります。

蛹室を確認してから、1ヵ月半ほどで羽化をしますので、成虫がマットの上に出てきていないか

2日間隔ほどで確認をして下さい。
ケース越しに羽化をしていることが確認できるようであれば、羽化後1週間後には取り出して大丈夫です。

(羽化直後は、体がまだ柔らかく翅がしまえていないこともあります。)

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